
過去の養育費
本来は離婚時に養育費の取り決めをすることが通常ですが,とにかく離婚をしたいとか,DVから逃れるためなど,養育費の明確な取り決めをしないまま離婚し,何年も経過することがあります。
子が20歳になるまでは,資力のある方は,養育費を負担する義務がありますから,今後の養育費については,子が20歳になるまでいつでも請求することができます。
では,過去の養育費を請求することはできるのでしょうか。
数年間養育費を受け取っていない場合など,過去の養育費の未払い分はかなりの金額になることが多いので,過去の養育費を請求できないかが問題となります。
この点,養育費を請求した時点から請求できるいう立場の審判例もありますが,多くの審判例は,請求時に限らず,扶養権利者が扶養を必要として,かつ,扶養義務者が扶養することが可能な状態にあった場合には,具体的な扶養義務,扶養請求権が発生するとしています。
もっとも,この場合でも,公平の観点から,相当の範囲に限定されることが多いです。
ケースによっては1000万円を超える場合もあるでしょうから,そのような場合に,ケースによって相当な範囲に限定するというのは,常識的に考えて頷けます。
なお,養育費支払いの合意があった場合には,当然に,未払い分全額の請求が可能です。
離婚相談弁護士横浜 細江智洋