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親権と監護権の分離
離婚相談の中でよく聞かれることの一つとして,親権と監護権は別々にできるのかというものです。
確かに,法律上,離婚時にも親権と監護権を分けることはできるのですが,通常は分けることはしませんし,私個人は基本的に分離をしないようにしています。
元々,親権と監護権の分離は,旧民法で家父長的「家」制度を前提としていた時代に活用されていました。
当時,家制度の下では,離婚後は原則として父親が親権者とされていました。
そのため,母親が子を育てるための方法として,母を監護者とするという方法が取られていたのです。
現在も,協議又は家庭裁判所の調停審判で監護者を指定することができるとされていますが,通常は離婚するまでの間に父母のどちらが子供の面倒をみるかという使い方がされています。
さて,離婚時の親権と監護権ですが,そもそも親権者を,子を監護教育するのにどちらがふさわしいかという観点で決めるのですから,基本的に親権と監護権を分ける積極的な理由は見出しがたいといえます。
他方,離婚紛争を早期に解決する手段として,父母を親権者と監護者に分けてしまおうとか,それぞれが子の監護教育にあたるべきだという考え方もあります。
しかし,離婚後に親権と監護権が分離するのは,子の監護養育上,混乱が生じかねませんし,やはり実際に子と生活を共にする親が親権者となり,問題があれば親権者の変更をするというのがよいでしょう。
親権を有しない親は,面会交流等で関与を持つことができるのです。
離婚相談弁護士横浜 細江智洋