
有責配偶者と離婚
有責配偶者,すなわち不貞行為等の有責な行為を行った配偶者からの離婚請求が認められるかという問題がありますが,以前は,裁判所は認めていませんでした。
しかし,その後最高裁は,一定の要件の下で有責配偶者からの離婚請求も認めるようになりました。
その要件とは以下の通りです。
① 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
② その夫婦間に未成熟の子が存在しないこと
③ 相手方配偶者が離婚により精神的,社会的,経済的に極めて過酷な状態に置かれないこと
①の長期の別居についてですが,明確な基準はなく,別居期間の夫婦の年齢及同居期間,別居後の時の経過が与える当事者双方の事情などを考慮されます。
過去の例で言えば,7年半の別居で認めたものもありますし,8年別居でも認めなかったものもあります。
概ね10年くらいが目安と考えていいのではないでしょうか。
②の未成熟の子についてですが,これは未成年という意味ではなく,概ね高等学校を卒業するくらいとされています。
③過酷な状態に置かれるという点ですが,まだまだ女性の社会進出が不十分な現在において,経済的な側面や,社会的な環境の変化という観点は,特に女性によって非常に重要です。
裁判所もこの要件を理由に離婚請求を退けることもあります。
離婚相談弁護士横浜 細江智洋