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離婚の意思とは
夫婦の一方が勝手に出した離婚届が無効となりますが,夫婦喧嘩の勢いで離婚届にサインをしてしまったものの,本心では提出するつもりまではなかったような場合はどうでしょうか。
離婚の成立には,離婚をしようという意思と,離婚届を提出する意思の両方がなければなりません。
例えば,相手がいつも「離婚だ!」とわめいていても,勝手に離婚届を提出することはできません。
本人に離婚届を提出する意思がないからです。
もっとも,離婚届を出す意思がなかったことを立証することは困難を伴います。
離婚届に本人の署名と押印がされていれば,通常は離婚届を提出する意思があっただろうと考えられるからです。
無効とするためには,離婚届を提出する意思がなかったこと等を立証しなければいけません。
最高裁昭和34年8月7日判決は,合意により協議離婚届出書を作成した一方の当事者が,届出を相手方に委託した後,協議離婚を翻意し,右翻意を市役所戸籍係員に連絡をしたため,相手方によつて届出がなされた当時,離婚の意志を有しないことが明確であることから,離婚を無効としました。
このように離婚届出の意思がないことを立証することができればよいのですが,離婚無効を争うことは非常に困難を伴います。
離婚相談弁護士横浜 細江智洋