
別居中にも,収入の多い方から少ない方に対して,生活費を負担する義務があります。
では,この生活費の金額はどのように決めることになるのでしょうか。
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話し合い
まず,夫婦の間で話し合って納得する金額が決まれば,その金額を毎月受け取ることになります。
しかし,別居の経緯などによっては,相手方が支払を拒むこともあるでしょう。
そのような場合は,婚姻費用分担請求調停という調停を,家庭裁判所に申立てます。
家庭裁判所における調停
家庭裁判所の調停では,調停委員という,男女一組の比較的年配の方々が,夫婦の間に入って,話し合いを進めます。
調停はあくまでも話し合いであり,合意ができないと生活費の金額(正確には「婚姻費用」といいます)を決めることはできません。しかも,調停委員は中立第三者の立場ですので,一方に肩入れをして,いくら払うべきだというようなことは原則としてできません。
もっとも,家庭裁判所では,双方の収入や子供の人数に応じて,手間を掛けずに早く金額を決めるために,算定表という一覧表を用いています。
そのため,一般的にはこれくらいの金額になりますよ,という程度の話は,調停委員からも話してもらうのが通常です。
それでも調停で金額が決まれなければ,裁判所が審判という手続きで,婚姻費用の金額を決定します。
家庭裁判所における審判
審判手続きは,話し合いの場ではありませんので,双方が提出した収入資料やお話を元に,裁判所が金額を決めます。
このときの基準となるのは,調停段階でも話題になるはずの,算定表と呼ばれる一覧表か,その元になっている計算式です。
弁護士 細江智洋