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慰謝料の相続
離婚時に慰謝料が決まっても,100万円を超えるような場合に,一括では支払うことができず,分割払いの合意をすることがあります。
慰謝料の支払義務を負っている元配偶者が,高齢であるにもかかわらず数年に渡って分割払いをする場合や,不慮の事故によって亡くなられた場合に,慰謝料の分割払いはどうなるのでしょうか。
これは,慰謝料請求権が相続されるか,という問題となります。
相続は,亡くなられた方である被相続人の地位を包括的に承継することですので,慰謝料請求権も当然に相続されます。
そのため,相続人は当然に,引き続き慰謝料の請求をすることができます。
では,慰謝料の金額がまだ決まっていないような場合はどうでしょうか。
つまり,具体的に〇〇万円を支払うというような合意ができていない場合でも,慰謝料請求権は相続されるのでしょうか。
この点,最高裁判例は,次のように判断をしています。
「損害の発生と同時にその賠償を請求する権利すなわち慰謝料請求権を取得し,右請求権を放棄したものと解しうる特別の事情がない限り,これを行使することができ,その損害の賠償を請求する意思を表明するなど格別の行為をすることを必要とするものではない。そして,当該被害者が死亡したときは,その相続人は当然に慰謝料請求権を相続する」
そのため,離婚慰謝料の金額が決まっていなくても,さらにいえば,慰謝料請求をしていなくても,相続人は慰謝料請求をすることができますし,被相続人は,慰謝料の支払義務を免れることはできません。
離婚相談弁護士横浜 細江智洋