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借地と財産分与⑴
離婚の際に,夫婦で不動産を所有している場合には,その不動産は離婚時に財産分与の対象となります。
借地上の建物を所有している場合には,借地権と建物の両方が財産分与の対象となりますが,この場合に借地権はどのようになるのでしょうか。
この問題は,様々な論点を含むので,シリーズで展開します。
さて,借地権付建物の財産分与で一番問題が生ずるのは,借地の借主及び建物の所有者である配偶者から,他方の配偶者に分与をする場合です。
この場合,建物の譲渡には何ら問題がありませんが,借地権の譲渡をすることになりますから,この点が問題となるのです。
すなわち,法律上(民法612条),借地権(賃借権)の譲渡には,賃貸人である貸主の同意が必要とされており,貸主の同意なく借主が賃借権を譲渡した場合には貸主は借地契約を解除することができるというのが原則となっています。
もっとも,借主の保護のために,判例により,信頼関係を破壊するような背信的行為があった場合にのみ解除をすることができるとされておりますので,通常は,離婚に伴って借地権を譲渡することは,背信的行為とはならず,解除は認められないということになると考えられます。
次回は,この「背信的行為」についてもう少し詳しく説明します。
離婚相談弁護士横浜 細江智洋