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有責配偶者と財産分与
不倫をした妻から夫へ,離婚時に財産分与を請求することはできるのでしょうか。
不倫をしたり,暴力をしたり,離婚原因について主として,あるいはもっぱら責任がある配偶者を,有責配偶者といいます。
そもそも,有責配偶者からの離婚請求は認められにくいといえます。
判例は当初,有責配偶者からの離婚請求を認めていませんでしたが,現在は一定の場合に有責配偶者からの離婚請求を認めています。
その条件は,詳細を省いてですがごく簡単にまとめると
①相当長期間の別居,②未成熟子がいないこと,③相手が精神的・社会的・経済的に過酷とならないこと,です。
別居期間はケースバイケースですが,10年程度は覚悟する必要があります。
さて,有責配偶者からの離婚請求が認められる場合に,有責配偶者からの財産分与請求も認められるのでしょうか。
財産分与請求権には,夫婦の共有財産を清算するという清算的な側面と,一方の離婚後の生活の保障とするという扶養的な側面があります。
一般に,清算的な財産分与としては,財産の持ち分にしたがった分与ですので,財産分与を求める側が有責であるかどうかは関係ありません。
つまり,有責配偶者でも請求できます。
他方,離婚後の不要としての財産分与については,一般に請求できないとされており,実際に否定した裁判例もあります。
ところで,有責配偶者から財産分与請求をする場合,分与する側は,有責配偶者に対して慰謝料請求権を有します。
これらは相殺できるのでしょうか。
法的な議論は省きますが,結論として,相殺処理ができます。
横浜の離婚弁護士 細江智洋