
Contents
ローン残不動産と贈与税
住宅ローンが残っている場合でも,時価にと取得額等に応じて,財産を分与する側に譲渡所得税がかかる可能性があることをすでにお話ししました。
さて,住宅ローンが残っている場合に,財産を受ける側には,税金はかかるのでしょうか。
具体的には,贈与税がかかるのかどうかが問題になります。
たとえば,離婚時の財産分与ではなく,単純に贈与をする場合,贈与を受ける側には贈与税がかかることになりますが,その場合,課税対象となる課税価格については,ローン残分の金額を,時価から控除することができます。
時価7000万円の不動産を3000万円のローン付で贈与をすれば,課税額は4000万円となります。
もっとも,財産分与の場合は話が違ってきます。
財産分与の場合は,無償ではありますが,贈与とは考えず,贈与税の対象にはなりません。
相続税基本通達9−8では次のようにされています。
「婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産(民法第768条((財産分与))、第771条((協議上の離婚の規定の準用))及び第749条((離婚の規定の準用))参照)については、贈与により取得した財産とはならないのであるから留意する。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与によって取得した財産となるのであるから留意する。(昭57直資2-177、平17課資2-4改正)」
結局,財産分与のときには,それが過当であったり,脱税をしようとした場合でなければ,贈与税はかからないことになります。
もちろん,過当といっても,財産分与はかならずしも半分ずつになると決まっているわけではないので,余程のことがない限り,課税されることはないでしょうね。
横浜の離婚弁護士 細江智洋