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ローン残のある不動産と譲渡所得
離婚時に,ローン残がある不動産を財産分与する場合があります。
このときの税金はどうなるのでしょうか。
まず,不動産を財産分与する際には,分与をする側に,譲渡所得税がかかります。
そして,譲渡所得税の計算方法ですが,譲渡所得に税率をかけて算出します。
さて,計算の前提となる譲渡所得ですが,譲渡所得の算出は次のような式になります。
課税譲渡所得金額=譲渡収入金額ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除額
ここでやはり疑問が生じるのですが,財産分与は売買ではなく,無償で行うものです。
このような場合でも,譲渡所得が生じるのでしょうか。
この点,所得税基本通達において,次のようにされています。
「民法第768条《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。」
財産分与においては,分与する側に,財産分与をする義務が消滅するという経済的利益を享受することになるため,譲渡所得が生じるとされているのです。
そうすると,たとえば時価8000万円,購入価額5000万円の不動産を財産分与した場合には,譲渡収入は8000万円,取得費等が5000万円となり,譲渡所得金額は3000万円となり。3000万円が課税される対象となります。
ローン残がある場合でも,譲渡収入は時価となり,残っているローンを譲渡収入から控除することはできません。
ちなみに税率は原則次の通りです。
所有期間5年以下 所得税率30.63% 住民税率 9%
所有期間5年超 所得税率15.315% 住民税率 5%
横浜の離婚弁護士 細江智洋