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払いすぎた婚姻費用
夫婦間では,お互いに扶助義務があり,収入の多い方から少ない方に対して,婚姻費用の分担義務を負うこととなります。
話し合いで金額が決まらなければ,家庭裁判所に調停,審判を申し立て,調停上の合意か,あるいは家庭裁判所による審判で金額が決まります。
ところで,離婚時には,夫婦の共有財産について,財産分与を請求することができます。
原則として,婚姻期間中に形成した財産は,半分ずつに分けることになります。
そして,財産分与には,二人の財産を清算するという要素を持っています。
そうすると,たとえば,夫婦の一方が,過去に通常に比して多くの子人費用を負担した場合に,財産分与の一種として清算することが可能なのでしょうか。
この点,最高裁は,「離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては当事者双方の一切の事情を考慮すべきものであることは民法七七一条,七六八条三項の規定上明らかであるところ,婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情のひとつにほかならないから,裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる」としています。
つまり,財産分与を決定する事情の一つとして,婚姻費用の分担の態様も考慮できる,すなわち,過去の分担を財産分与時に清算できるということになります。
そのため,過去に過当に支出した婚姻費用については,財産分与において清算することが可能です。
横浜の離婚弁護士 細江智洋